江戸甘味噌は江戸の甘みその代表と言われ、遠く徳川三百年の昔から江戸庶民に愛好されたのが始まりと言われています。
徳川幕府による植民地であった江戸は、さまざまな地方から人々が流入し好みの味もそれぞれでした。そんな中、文化の先進地である「京・大阪の味」が「下りもの」として珍重されるようになり、白味噌同様に味噌も甘口が好まれ江戸甘味噌が誕生したのです。
伝承では、初代将軍徳川家康の命により「出身地の三河「八丁味噌」 の旨みと京都「白味噌」の甘さを兼ね備えた味噌として開発された」とも伝えられております。
江戸甘味噌は光沢のある茶褐色で、深く蒸した大豆の香味と麹の甘みが渾然と調和し「とろり」とした独特の甘みをもった米味噌です。塩加減、甘さ加減が京都白味噌と同じで、普通の味噌(仙台味噌、信州味噌)に比べ麹は2倍、塩分はそれらの半分の米味噌であり、熟成期間も短いです。その為、変質が早く保存期間も短い、麹をたっぷりつかった贅沢な味噌でありました。そのような面が新鮮さを命とする江戸っ子の気質に合ったのかも知れません。味噌田楽、どじょう汁といった江戸の料理に巧みに使われ人気を博しました。
現在でも横浜にございます歴史ある牛鍋のお店、太田なわのれん様でもお使いいただいております。
町民に愛された江戸甘味噌は最盛期(江戸~大正時代)には東京の需要の60%をも占める商品でした。
株式会社あぶまた味噌は、1885年(明治18年)初代目飯田又右衛門が東京中野で創業し、以来百年にわたりみそ造り一筋にそんな歴史のある江戸味噌の伝統を受け継いでいます。
江戸甘味噌は厳選された米、大豆、食塩を原料とした「米みそ」です。人口甘味料などを使用しておらず、米こうじをたっぷりと使い、食塩は一般辛口みそより少ないため(約6%)、特有のシットリとした甘味と柔らかな舌ざわりが生まれます。
みそ汁
出汁をとり、季節の野菜、豆腐、油揚、ワカメ、魚介類などの実をいれ煮えましたら、“江戸甘みそ"を一般辛口みその約倍量溶かし入れ、一煮立ちしたらお召し上がりください。煮過ぎや、煮返しをしないことがおいしく仕上げるコツです。
その他
季節の鍋物、酢みそ、なめみそ、ぬた、田楽など、砂糖をご使用ならなくても、材料の持ち味が生かされおいしく召し上がれます。そのまま野菜につけてお召し上がり頂けます。